損傷要因
乾燥不十分
剥皮された毛皮は、そのままの状態では細菌により腐敗し、毛抜け(ヘアスリップ)を起こします。そのためさまざまな手段により細菌の汚染を防ぐ方法が工夫されています。
毛皮に用いられる貯蔵方法としては、一般に乾燥法が採用されていますが、乾燥不十分なまま貯蔵されると細菌の繁殖をまねきます。その場合、細菌の栄養源の一つとされるのが毛根部分であり、その毛根が細菌によって分解されて毛抜けが起きるのです。鞣製段階で刺毛や綿毛の順で毛の脱落が起きることがありますが、これは生皮の時の乾燥不十分による場合が多いのです。
なお、この脱落箇所は、縫製段階できちんと処理されねばなりません。乾燥不十分なまま製品化されると、硬化、破れ、悪臭の原因となります。
素材の特性
適切に鞣製した毛皮の毛は簡単に抜けないのが普通です。毛を引っ張った時に根もとから切れると、毛抜けと毛切れとが区別がつきにくくなります。 毛の強さ(引張強度、毛抜き強度)は、動物の種類、部位、品質で差がありますし、鞣製・染色の条件、着用の方法や頻度、保管方法でも異なってきます。 なお、ミンクやフォックスなどの代表的な毛皮の毛の強度は、下図に示したように、さほど弱いものではなく、ミンクの毛抜きで10〜20g、フォックスの毛抜きで10〜25gの強度を持ちます。ミンクについては、この毛抜き強さが下記の基準値より低い製品では節早、ヘアスリップなどの品質劣等要因と結びついていると考えられます。
着用によるスレ
毛皮の場合、着用による摩擦(スレ)のための毛切れが起こります。
特に袖口、ポケット口、前立ての部分から刺毛が切れたり、折れたりしてなくなってきます。
虫食い
虫食いによる毛抜けは、購入後の保管中のミスが、その殆どです。毛につく虫は、春に産卵し10日後に孵化した幼虫が夏にかけて毛の根元の部分を喰うのです。毛皮を喰う虫の代表的なものとして甲虫類のヒメマルカツオブシ虫、ヒメカツオブシ虫、衣蛾類のイガ、コイガ等があります。
万一虫喰いが見つかったら、ビニール袋などに毛皮を密封しクリーニング店に持参しましょう。燻蒸、クリーニングにより、毛抜け部分を明確にします。損傷が全体に行き渡らない限り修復が可能な場合があるので、出来るだけ早めに購入店に相談してみましょう。
縫製不良(浮き毛処理不十分)
コートなどに縫製加工される場合には、種々の加工方法がありますが、通常は毛皮の数枚から数十枚集めたものを細かく裁断して縫い上げます。その際、裁断した箇所の毛の毛根も一緒に切ることになり、その毛根を切られた毛は大半は取り除かれますが、多少は浮き毛として残ります。
この浮き毛は、縫製の最終段階のドラミング工程で取り除かれますが、不十分だと製品全体に毛抜けが起きているように見えます。
長毛類など、素材によっては完全に除去されない場合もあります。しかしこういった浮き毛は品質不良によるものではないので、ドラミングをかけ直すなどすれば着用にはまったく問題はありません。
自然劣化
皮にもともとあった地油が酸化変性したり、鞣し剤の酸が遊離して皮に影響を与え、硬化・破れの要因になります。
染料などの変化
染色に使用した染料は、わずかずつですが常に周囲からの科学的な影響を受けています。長期間のうちに多少の変・褪色を起こした場合、染色前の本来の毛皮の色の差が現れて、色ムラの状態になることもありますが、この場合は極端な色ムラにはなりません。極端な変色になるのは日光、蛍光灯などの光線の光線が原因である場合がほとんどです。
1)染色した毛皮は、色落ちを防ぐためにさまざまな方法がとられているので通常は色落ちなどの損傷はありません。しかし染色条件、染料、染色後の洗浄などの条件が不適切な場合は、時として色が落ちる場合があります。
2)染色された毛皮の場合は、使用した染料の堅牢度が変・褪色を起こす原因となります。また、毛皮製品は、何枚もの皮を組合わせて製品化するため、それぞれの皮の個体差により多少不揃いの変・褪色が起きる場合があります。ただし、このようなケースの変色は極端な色ムラにならないので、着用は十分可能です。
3)三原色(赤・青・黄)の染料を組合わせて毛皮を染色することが多いのですが、日光や蛍光灯に含まれる紫外線によって染料の一要素のみが破壊されると、茶色がグリーンに、グレーがピンクになるなど、変色を起こします。
毛皮基礎知識
買取サービスを利用する前に知っておくべきこと
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